蛇の足、2
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森小路という書家と「人の書と言葉のふたり展」をやったことがある。数年前の夏のこと。年末に事務所の掃除をしていると、そのときの作品の複写データがでてきた。
森氏は、「人」という言葉にこだわって、「人」という一字を書き続ける書家。 その活動はNHKをはじめ、多方面から取材を受けている。もともと飲み仲間で、 いまは「小路」というバーの店主でもある森氏と、いつか何かできたらいいねって言い合っていたのだった。
人を探して、人を書きつづける書家と、 言葉の世界であがきつづける物書きのはじめてのふたり展。 MONOギャラリーの一角をお借りして遊ばせてもらいます。 題して「蛇の足」。無駄とか余計とか、そんなものもないと、 できる、切れるばかりの世の中じゃ人間がひからびてしまう。 小さなスペースでのささやかな展示ですが、 一つひとつの作品は、そんな想いを忍ばせてがんばります。 ぜひ、お越しください。
案内のダイレクトメールにはそんなコピーを寄せた。せっかくなので、そのときの作品をときどきアップしようと思う。ひとつひとつの作品に解説は書かないつもりだ。それこそ本当の蛇足になってしまうから。
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山ばかりを眺めながら移動した気がする。富士山をみながら飛行機とモノレールで東京へ。さらに何山かしらないけれど、雪化粧をした山々をみながら新幹線で那須高原へ。今日はCSRレポートの取材。那須高原にあるテーマパークへ行って、立体式多段水耕栽培による、温室イチゴ園でいろいろなお話を聞いた。
立体式というだけあって、私が幼稚園の頃に行った、記憶の中のイチゴ狩りとは異なっていた。冷たい土にしゃがんで、どろだらけになってイチゴを採った記憶がある。しかしそんなイメージでここを訪れると美しく裏切られる。白い棚にイチゴが5段になっていている。大人は上の方、子供は真ん中、幼児は下の方と誰もがストレスなく採ることができるのだ。さらに水耕栽培だから土がない。女性のブーツやヒールが汚れる心配がない。何よりこの室内の彩りだ。白をベースに、葉の緑、イチゴの赤が、どこかの庭園と思わせるような美しく、衛生的な雰囲気を生み出している。
ここでは「とちおとめ」「べにほっぺ」「あきひめ」「さちのか」という4種類のイチゴを栽培している。さあさあ、好きなだけ食べてください。好きなだけ食べ比べしてくださいと、園の方にいわれるままにもぎっては食べ、もぎっては食べ、食べた、食べた。イチゴをおいしく食べるには、つま先のとんがった部分から食べてはいけないという。茎をとり、下の方から食べるといいらしい。つま先にいくほど糖度が高くなるので、先にその部分を食べると、茎がついている後半部分が頼りなく感じられるのだ。
どちらかというと、普段はあまりイチゴを食べない方だと思う。正直なところ、イチゴがこんなにおいしい果物とは知らなかった。また、品種によって違いもはっきりしていて、身が固く締まったもの、やわらかくみずみずしいもの、糖度の高いもの、酸味が際だつものといろいろで食べらべするのも楽しい。個人的には「べにほっぺ」が好きだな。取材と称して、おそらく1年分を今日1日で食べた気がする。それくらいおいしいイチゴだった。
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お世話になっているカメラマンのスタジオで、CSRレポートの表紙撮影。この日のために、カメラマンは高知からひまわりを仕入れてくれていた。
アートディレクターもやってきて撮影を進めていく。ここ一番の撮影ともなると、たった1枚の写真だけれど、こだわりの数だけ判断をくださなければならないことが増えてくる。悩んでもいつかは判断をくださなければならない。ここで悩む人は、個人的には苦手だな。本人はこだわっているつもりなんだろうけれど、私には優柔不断とか無能に映るんだな。あらゆることを一瞬で考えるチカラと、責任をもつ覚悟で判断をくだせる人をめざしたい。
もちろん今回のメンバーは、ぐずぐず考える人は一人もいない。カメラマンの問いにアートディレクターが答えて、アートディレクターの提案にカメラマンが反応して、短時間でいい写真ができました。こうご期待です。それにしてもここのスタジオを訪れるたびに、おしゃれになっていく。
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昨日の夜に、ホテルの支配人と雑談中に、今年、初石川入りで、この冬、まだ、のどぐろを食べる機会にめぐまれないというと、粋な計らいで朝食に焼いてくださった。なんと贅沢な朝食になったことか!赤米の粥をさっと食べ、その上でごはんを2杯もおかわりした。朝からそんなに食べることができるのに自分でもびっくり。のどぐろがあればこそだ。
ホテルをでて、山代温泉の「魯山人寓居跡いろは草庵」へ向かう。築120年以上になる家。ここで魯山人は半年ほどくらし、焼き物を学んだという。時の蓄積による圧倒的な佇まい、室内には光と陰が凜とした演出をほどこしている。
小さな窓から外をみると、ちらちらと雪が。ああ、いいもんだ。仕事ではなく、プライベートでゆっくり訪れたい。
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月刊誌の取材で加賀へ。今年初めての石川入りは、映画の仕事ではなく広告の仕事で、しかも金沢や能登ではなく、いままで一度も訪れたことのない加賀。
夜明け前に大阪を出て、9時半に到着。午前中は山代温泉界隈で、この地に滞在していた魯山人の跡を追う。事前にアポもなく飛び入りのお願いなのに、どの方もどの店も笑顔で許可してくれる。本当に人がやさしい土地なのです。
午後は山中温泉界隈へいって山中漆器について取材。この道50年にもなる木地師の方の言葉と仕事への姿勢が深くて、ただただ感動。己の姿勢を問い直し、姿勢を直す。楽しい取材は多いけれど、来てためになったと思う取材はめったにない。この機会をつくってくれたすべての人に感謝です。
夜明け前の雨は朝にはやみ、午後には陽射しも漏れた。夕暮れは一瞬だけ夕映えが広がり、遠く白山も白く微笑んでいるようでした。
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昨日、四国から戻ってきて、今日から脱休みモード。起きてまずジョギングに出る。今年初ジョグ。1時間ちょっと。約10キロ。i-Podで好きな音楽を聴きながら、身体のあちらこちを確かめるように、会話するようにゆっくり走る。
今年の日々のフォームづくりのひとつに運動がある。もともと走っていたし、去年からはジムにも行くようになったけれど、今年はさらに意識して身体を整えようと思っている。体力と精神は比例する実感するからだ。体力の疲労を精神力でカバーするには、もう年齢的に限界だ。ヘミングウェイが自殺したのは、あきらかに酒の飲み過ぎによる、肉体と精神の摩耗のせいだ。
ところで画像はまたまた上記のとは関係なく、最近見つけたソフトでつくったもの。もともと、ポラロイドの質感が好きだった。デジカメの画像を、ポラロイド風に生成するフリーソフトを発見。暇をみつけてはポラ画像を作っている。そんな何点かを。
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年が明けました。おめでとうございます。本年も、みなさまにたくさんの良いことがありますように、新年のご挨拶を申し上げます。
さて、昨年ほどまわりの方に感謝した年はありませんでした。家族、事務所のメンバー、友人、そして諸々の関係者の方々。人は自力で生きているわけではなく、 人との関係性のなかで生きているとはわかっているつもりだったけれど、 実は人のチカラがあってなんとか今があるんだと改めてわかった一年でした。輝くとは、輝かす光が外から注がなければ 輝かないんですね。 ありがとうございます。
さて、いろいろなことが頭を横切る新年ですが、今年はフォームを変える努力をしようと思っています。見た目のファッションのことではありません。日々の生き方、物事への取り組み方、人への接し方、その型を改めて見つめ直そうと思っています。フォームがぶれるとロクな結果になりません。これは何もスポーツの世界だけの話ではなく、すべての物事にいえること。あの色川武大さんも、「大切なのはフォームだ」と書いています。
ところで写真は、お世話になっている大阪寿司「夷左翁」の大将から頂戴したお酒。年中、ほとんど休みもなくお仕事をされている大将が、時間を見つけて『能登の花ヨメ』を見てくださった。大将は能登・珠洲の出身。ずっと前から上映を楽しみにされていたのだ。鑑賞後、丁寧なお手紙をいただいて、家にこのお酒が送られてきたのです。お礼と書かれた熨斗をつけて。
「映画を見たら、能登へ帰りたくなったでしょう」
「いえいえ、能登へ行ってきました」
こんな言葉をさらりといえるなんて、本当に素敵です。同時に、自分の言葉の腰の弱さが浮き彫りにされる思いです。
元日、起きてテレビをつけるとロクな番組がない。年末もそうだった。夜はほとんどテレビにしないで、落語のDVDか、ハードディスクに録りためていた番組を見ていた。駅伝にもまだ早い。そうだ「初芝」を見よう。立川談志師匠のビデオを取り出す。なんども見ているけれど、中盤からどんどん引き込まれる。そしてオチ。ジーン。うん、やっぱりフォームだ。フォームが大切だ。
本年も、よろしくお願いいたします。
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