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人生はこれからだ。


先月の末、お世話になった人の会社が倒産した。

自動車メーカーの仕事をメインにしている会社で震災後、仕事が激変したためだった。震災だけならなんとかなっただろうけれど、大阪はここ10年以上不景気で、中小の企業はお得意から絞るだけ絞られているので、借り入れでなんとかしのぐ青息吐息がほとんど。その方の会社も借入枠に余裕などあるはずもなく、残された道はひとつしかなかった。


5月の中頃にその方がふらりと事務所へ遊びにきた。元気がなく、疲れているのはわかった。しかしそこまで追い込まれているとは知らなかった。わかったとしても私にまとまった金など工面できるはずもなく、私が用意できる小金などでは屁の突っ張りにもならなかったのだろう。その方は金の話など微塵もせず、昔、毎夜のように北新地で遊んだ頃の思い出を振り返っていた。


その方とは仕事のつきあいというより、夜のつきあいの方が多かった。北新地での遊び方を教えてくれたのはその方だった。面倒見のいい方で、自分が楽しむよりもまわりの人が楽しめる状況をつくって 、その和気あいあいをみながら酒を楽しむような人だった。だから私たち若い者はのびのびと遊べた。 ある深夜、私が酔っぱらって店中でビールかけをはじめたときもいっしょにびしょびしょになってくれたうえに、68本ものビール代と店の清掃代を黙って払ってくれたのはその人だった。


7月1日の朝、倒産の話をきいてからその日、私はその方に電話できなかった。何を、どう話せばいいのかわからなかったからだ。その方への言葉が見あたらない。同情?慰め?励まし?そのどれもが違うような気がして連絡をとれないでいた。


翌日の土曜日、東京で朗読Legend「日本浪漫~あなたに残したいことばのアルバム」へ行った。 フジテレビのアナウンサーの方と演劇人が、いまこそ伝えたい日本のことばを朗読した。日本人は奥ゆかしさの裏にすばらしい理知と行動力をもっていて、そのうえ美しいことばを持っている。コインのように無常と希望を背中合わせにしながら、幾多のどん底から見事に立ち上がった。


そんな朗読を聞きながらずっとその社長のことを考えていた。終演後、ある想いが降りてきたことに気づいた。


立ち上がり、また落ちる。落ちて、また再び上を向いて歩み出す。立ち上がった先に人生があるのではなく、立ち上がり、また落ち込むその繰り返しが人生であり、立ち上がった先に幸せがあるのでなく、
立ち上がり、また落ち込むその万丈に幸せが隠れているだ。


倒産倒産っていうけれど、それですべてが終わったってわけではない。そりゃお金で迷惑をかける人はでてくるだろうけれど、大半は金融機関。個人の人生を左右することはあるまい。代償は大きいかもしれないけれど、金に追われるストレスからは少し解放されることだろう。人の目や陰口など、3ヵ月どころか現代では数週間の話。


歩みつづける限り、終わりはないし、 諦めない限り、失敗もない。大切なのは、なにをしたかではなく、なにをしようとしたかだと思う。


私は無力で、その方に教えられることばかりだけど、だからこそ私だけでもその方の側にいる人であろうと思う。大阪に戻ったら電話してみよう。そう、自分へいい聞かせるように。


お疲れ様でした。でも人生はこれからですよ。


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コメント

コットンズの大塚です。
松尾さんのツイッターから「西の学援」のワークショップを知って申し込んだのですが、このブログをよくよく観て『西林さん?!』って気がつきました〜。(そちらは気がついてました?)
なんかびっくりです。どうなることやらわかりませんが、緊張してるし楽しみだし・・・無事、その日に行けるよう段取りしますのだ!宜しくお願いいたします。

投稿: watayakko | 2011年7月11日 (月) 00時53分

悦っちゃん!

いや、どこでどうつながるかわからないのが
面白いですね。

お陰様で大好評で、キャンセル待ちの方が
20名様以上も!ありがたいはなしです。

いろんな気づきがあると思います。
思いっきりたのしんでくださいね、

投稿: | 2011年7月11日 (月) 08時52分

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