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ダッフルコート。

 

去年のいまごろ、1着のコートを買った。英国のグローバオールとコム・デ・ギャルソンがコラボレーションして作ったものだ。

一昨年の春にパリへ行ったときに、街角のおとなたちをみて、ぼくはリュックサックを使うことと、ダウンジャケットを着ることをやめようと思った。だから冬がくるまえにしっかりとしたコートがほしかったのだ。
 
お世話になっているコム・デ・ギャルソンの店員にそんなことを話したとき、すすめられたのがこのコートだった。ぼくの頭のなかにはダッフルコートという選択肢はなかった。それにイギリスの服だから身体に馴染むまでには時間がかかるだろう。生地はしっかり織り込まれている。その分、着てみるとずっしりと重い。正直、乗り気ではなかった。ただそのとき店員が「保温力はダウンの比じゃありませんよ」といった。ぼくはその一言で落ちた。
 
せっかく買ったのだからと、寒さが厳しくなると毎日のように着た。たしかにあたたかい。シャツと薄いカーディガンだけでもこのコートを着るだけで、どんな寒い日でもなんなく過ごすことができた。1月後半の、氷点下の函館で屋外ロケがあったときも、ぼくはこのコートを着ていった。そのとき、あらためてこのコートの保温力の高さを再認識した本当にダウンの比じゃなかった。かようにして、その冬は毎日のようにこのコートを着ることになった。春が来るころには、上から2番目の木製のトッグルをとめる麻がすれて切れる寸前にまでなっていた。
 
なにかの折りにコム・デ・ギャルソンの店員にそんなことを話すと、修理しますよといってくれた。さっそくコートをあずけて直してもらった。それが今日、きれいになって戻ってきた。
 
最近、こんなことが増えてきた。本当に好きなもの、愛着のあるものを選んで、慈しむように使って、壊れれば修理して、また、使う。もう量を追うことに魅力を感じない。安いだけのものにも目は向かわない。服もそう、靴もそう、筆記具もそう。友人や愛する人もそう。仕事もそう。一日のおわりに立ち寄る店もそう。たくさんいらない。少なくてもいい。志のあるものや、志があって同じ方向をみている人をみきわめて、くたびれたら修理して、しんどくなったら距離を置いて、その状態や関係をときどきメンテナンスしながら、いっしょに生きていきたと思う。
 
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コメント

ラルフローレン ギフト

投稿: ラルフローレン パーカー | 2013年10月29日 (火) 18時39分

とても魅力的な記事でした。
また遊びに来ます!!

投稿: 履歴書の送付状 | 2013年12月 4日 (水) 17時18分

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