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宇都宮にて。


昨日、宇都宮からローカル線に乗ったとき、ぼくの前にいた青年。スマホで髪型をチェックしたり、鞄から資料を取り出して確認したり、窓の外をみたり、天井を眺めてはため息をついたり、なにかの拍子にスマホを落としたり、まるで落ち着かない。

真新しいスーツと革靴、その顔に、まだ、たぶんに少年の面影を残している彼はきっとリクルーターだと思う。きつく結べないネクタイにその不安と戸惑いが現れている。

最近、秋のリクルーターや春先の新入社員たちの姿を見ていると、それだけでジーンとする自分がいる。彼ら彼女らの姿に、そんな年齢になった自分の子どもたちを重ね合わせてしまうから。

そしてもうひとつはさまざまな経験を重ねてきて、実績と引き替えにそんな初々しさと彼らしか持っていない財産を失ったことへの淋しさからだと思う。

きっと彼は、はじめての実社会へでようとしていろいろなところではじかれ、自分の居場所がわからず戸惑っているに違いない。

金もなく、名誉もなく、地位もなく、ネットワークもなく、もちろん自信もなく、ポケットに詰め込めるもの不安しかないにもかかわらず、社会へ一歩を踏み出す彼。

しかし彼はまだ気づいていない。世の中で一番強いのは、Havesではなく、Not Havesであることを。世の中の動かすのはいつの時代も、無名で、貧しい、若者であることを。そして君のポケットには、片方に自由と、もう片方に未来というかけがえのない財産が入っているということを。


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